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2009年10月24日

配属する研究室の選び方 --- 「研究の方法」から引用


研究分野の見つけ方 -- 分野探しは恋人を見つけるのと同じ
  長年つきあえる研究分野を見つけることは、恋人探しと同じようになかなか難しい。研究分野の選び方の秘訣は、自分の好きな分野を選ぶということである。自分の嫌いな分野を研究した場合、研究しているうちにたまたま好きになることがなければ、大半の人は、卒業するためだけにその分野を研究しただけに留まり、すばらしい研究成果がでることは稀である。従って、たとえ教官が勧める分野であっても、自分の気に入らない分野は、素直に「いやです」というのがコツである。「好きこそものの上手なれ」という諺の通り、好きな分野を研究せずに、よい成果が得られるはずがない。

指導教官の選び方
  研究分野の選び方の第一歩は、適切な指導教官を選べぶことである。もし、自分の研究分野がはっきりと決まっている場合、その分野に最も近い指導教官を選べばよい。やりたい分野に近い指導教官がいない場合、他分野の教官の中から、好きなことをやらせてもらえる教官を指導教官として選ぶ必要がある。しかも、この場合、教官によっては、「君の面倒はみないから自分でやってくれ」と引導を渡される場合も多いので、それなりの注意と覚悟が必要である。
  指導教官の専門分野と自分の研究分野がほぼ同一の場合、常に適切な助言が期待できる。この意で、どんな研究をしても、あまりハズレを引く心配はない。しかし、これでは、「お釈迦様の掌で遊んでいる孫悟空」であり、自分は指導教官とはやや違う分野を研究したいというならば、指導教官にゴネられない範囲で、やはり道は自分で切り開くしかない。
  最後に、そしてこれが最も重要なことだが、指導教官と自分との相性を考えておくこと。指導教官とは年中顔を会わせることに加え、就職その他の相談に乗ってもらうことも多い。そのため、配属したい教官の研究室の学生から、予め指導教官の性格を聞き、自分と折り合いがつくかを調べておく必要がある。いくらその分野では著名な研究者であっても、殺気がみなぎっており、話をするだけで息が詰まるようならば、指導教官として選ぶべきではない。また逆に、どうしても適切な指導教官が見つからない場合は、「この教官ならば1年間つき合っていけそうだ」と思う人を選ぶこと。

就職との関係
  研究分野の選び方でよく見えない所が就職との関連である。どのような職種に就職するつもりかによっても、研究分野は実は微妙に関連してくる。例えば、通信機器メーカの研究所に入社したいと思うなら、当然、関連する分野を選び、その分野の指導教官を選んだ方が、教官と関連企業との関係もあり将来的に有利になる。他方、地方公務員や高校の教師になりたいという場合は、どの研究分野を選んでも就職には直接的に関係はない。
  気を付けなければならないことは、研究分野の選択が、ときとしてはあなたの一生を決めることになるかもしれないことである。研究室紹介を聞いて、面白そうだからというだけで、安易に研究分野と指導教官を決めてはならない。自分が何をしたいのか、将来何になりたいのかを自問自答して、真剣に考えて決めること。
Posted by 植松友彦 at 3:08 午後
Edited on: 2009年10月24日 4:31 午後
Categories: 研究室所属を希望する学生へ